獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

パリは燃えているか。安部政権対マクロン政権。

 朝から冷たい霧雨が降り続けていた日曜日「5月7日」、夜の8時、新仏大統領に若干39歳のマクロン氏が決定した。


 仮に国粋思想で人種差別主義の極右政党女党首マリンㇴ ペンが勝利していたら、パリは暗い時代に変わっていたと思う。


 その日、投票結果が出るまで推移の報道は一切なしで日中は政治討論番組がばかり。そして20時の直前10秒のカウントダウンが始まり「大統領はマクロン」と結果発表。対立候補の写真が並んで映し出され当選者の写真がクロ-ズ アップsれて負けた方の写真は小さく後退しせたのが面白かった。
 国民が不安と期待で待っている結果を経過を追わないままサスペンス緊張の後、カウントダウンで出すと同時に勝者側の支持者が熱狂的な喜びの歓声を上げて祝祭となる。ドラマティックだ。


 マクロンが新共和国大統領としてべ-ト-べンの曲をBGに登場する演出も、ハリウッド映画のフォ-スワンの映画音楽をBGに出て来たトランプの成金趣味に比べると遥かに洗練され品性のあるものだった。
 特にマクロン支持者ではないが、ピラミッドを背景にした彼の演説も力強く新鮮だった。あの見るだけで不快感を抱かせるアメリカ産の肉牛のような無教養な70歳を超えた金髪老人とはすごい差だと思った。
 
 マクロンが大統領になってパリの雰囲気もガラリと変わった感じだ。若々しくて新鮮なフランス新政府の誕生である。新首相にもhavre市の市長だった右翼穏健派の自由主義者で30歳代の壮年政治家が抜擢された。
 
 日本の権力政治家らが漂わす不快な匂いがない。フランスは世代交代のいい方向に時代のハンドルを切ったと思う。今年のパリの5月は青空で気持ちのいい快晴の日が多い事も影響しているのかもしれないが、市民にも明るさを感じる。
 
 新女性文化相となったFrançois Nyssenの人事も評判がいい。1951年生まれ。脳のニュ-ロン科学研究所に勤めていたそうだが、父親が1978年に創立した出版社ACT SUDを引き継いだ。インドやメキシコなど世界の無名作家を発見して新たな知的領域を開拓。安易なスキャンダルで儲ける出版ではなくポリシ-のしっかりとした出版事業を続けACT SUDを一流のブランドに育て挙げている。映画、演劇を始め芸術一般に精通しているといわれる。マクロン新大統領の奥さんブリジットも高校の文学と演劇の教師で教師生徒の関係が年齢差を超えた愛に結晶した。フランスではより一層カルチャ-シ-ンが活性化するかもしれない。大学の文学部などは非生産的だからいらないと公然いう政治家や言論人を許しておく国柄とは大変な差だ。


 先日レネ クレマンの名作「パリは燃えているか」がTVで再放送され久しぶりにまた見る事が出来た。完璧な映画である。まずなんといってもナチス占領下のパリの様子を描く映像が秀逸である。話の展開と構成もよく出来ていてわくわくとする。構成に破綻がない。隙がなく密度が高い。毒ガス収容所に強制連行する為、家畜のように貨物列車に積み込まれるユダヤ人の悲劇。鉄格子の窓から外を眺めるユダヤ人たちの空虚な表情は強烈な印象を残す。
 パリ解放の為に死を覚悟して戦うレジスタンスの若者たちも生き生きとしている。アラン ドロンとベルモンドの二人とも役にはまっている。ニヒルな裏切り者であるトランティニアンの孤独な存在感も出色。当時の記録映画の挿入も現代の歴史的事実だったことの重みを伝えて見事。劇場の大スクリ-ンでまた見たいと思った。しかし、TVの小さなスクリ-ンでも十分に堪能、感動した。
 
 クラッシク映画の名作が古くならないで、見る度に感動し美しいと思うのは人間の真実に触れるからだと思う。
 真実などを持ち出すのは馬鹿らしいという人や社会から感動は生まれない。風俗は色褪せるが真実は輝きを失わない。人は一代名は末代というのもそれだろう。
 僅か半世紀前、人種差別主義、全体主義のナチス対して命を賭けて戦い、パリ解放を勝ち獲った若い反抗者達がいたのである。そのDANAが残っている。


 こうして新しい時代に舵を切ったフランスで暮らしていると、日本はひどいと思う。特にネット右翼にはに嘔吐さえ覚える。インチキな情報で平然と人種差別と全体主義的な発言をし、デマゴ-クの跳梁跋扈。彼らは愛国者を気取っているが、むしろこうした連中こそ国民を苦しめる非国民である。反対意見には反日の烙印を押して抑圧する。ドイツの血を判断の基準にしたナチスと同根である。

 
 例えば-。デマゴ-グとアジ‐と恫喝で反対者を黙らそうとする非民主的なAS。大和撫子ぶっているが心底では他国民、異文化を劣ったものと扇動し憎悪。教養があるように見せて実は無教養、想像としての大和撫子と老いた俗人の自分の現実との乖離に無知。ナショナリストとかいうより自分周辺の利益中心主義。謙虚さに欠け、異文化を排除する。日本文化も異文化交流の上に成立しているという歴史的事実を認めない。しとやかに話すとか日本の伝統的な女性の良さを振る舞いっているが、あのエジプトのコブラのようなヘア-スタイルんは大和撫子からは程遠い。ハワイ大学卒が売り物だが、在学中は疎外感に苦しいだのではないか。パリでもアイディンティティ-が脅かされる不安から急に石畳の街を羽織袴に下駄で闊歩したりする人がいる。彼女の隣国蔑視憎悪は過去のアイディンティテ-のトラウマ体験が原因ではないのか。論理性がない。彼女のイニシアルはSY、他国攻撃に論理性はない。あるのは憎い感情のみ。 それよりもっと醜悪なのが、故某国独裁大統領にセックスを売って知名度を上げた老女が顔を壁塗りの分厚いい化粧で、無知を恥とせずTVで社会評論をする異常さを異常と感じなくなっている異常さ、だと思う。
 
 他にもデマを平然と公言し国際的言論人だと錯覚しているJ,他国崩壊予想などカタストロフをネタにして金を稼ぐという最悪の人間T、天安門事変からの亡命を売り物にするペテン師っぽい中国人、明治皇室の血を引くと宣伝しているが、実は汚職一家で育ったスケベ男でしかないT,人を欺いて投獄されたのにその後悔は零で逆にそれと東大卒を売り物にしてマスコミにでている男H,国際政治学者の看板と美形で売っているが国際といっても、それは米国の事しか知らない女性R、
 
 最近のニュ-スを読んでいると日本はますます実力を問わない肩書としての高学歴社会となっているらしい。更に米国の大学に留学して箔をつけるという事も金持ちの子どには流行らしい。とにかく肩書の重みで相手を圧倒したいのだ。そんなことは顔に書いていないからいちいち出身校を聞きたがる。
 
 私的な事にな事だが、今20歳になる娘がグランドエコ-ルに通っている。ナポレオンによって施行された少数精鋭主義の鍛え方はすごい。日本で考えるような自由で楽しい学園生活などとは程遠い。娘は週末でもよく勉強している。  
 日本から留学したからといって、余程フランス語が出来なければ確実に一年で脱落する。日本の大卒の免状をもっていれば学校に入る資格はある。入学試験というものはなく日本の大卒であればだれでも入学できる。しかし入ってからの方が大変である。語学の壁はなめてはいけない。その国の文化に深く根差したものなのだ。
 挨拶ぐらいの言葉は出来るようになるだろうが専門の教科書や必要文献を読んめるようになるには相当な時間がかかる筈だ。実際勉強についていける人間は極少数だろう。 
 
 肩書に弱い日本では東大卒というと、それだけで崇め奉ってしまう傾向がある。しかし、世界では10位以内にもランクされていない。たいしたことはないのだ。それにぺ―パ-テストでいい点をとれるのと人生でいい点がとれるのとは違う。ヤクザや東大卒の金バッジなどに萎縮するなかれ。世界ランクでいえば底辺でしかない。それに人生の問題解決と試験問題解答はは違うのだ。
 かつて帝国陸軍幹部を秀才だから全ては正解と信じさせられて無謀な戦争に突入し日本を滅ぼしかけた歴史的事実を忘れまい。そして日本を再建したのは彼らではなく被害者であった働く国民だった事も忘れまい。
 自己責任をとった将校は僅かである。殆どは責任逃れに迷走した。
  
 文化は非生産的なものだかろと言っているツケは必ず回ってくる。文化や芸術は即刻利益をもたらすようなものではないが、人間を耕し「CULTIVER」して豊かにする。そして人間が豊かになるという事は社会が豊かで住みやすくなるという事である。パリの面白さも市民の多様性と独自性の面白さにある。
 
 外から眺めていると、現在の安倍政権は腐敗堕落しているとしか見えない。外敵云々という前に根が腐って本体の樹は倒壊してしまうのではなかろうか。上が腐敗すれば下も腐敗する。セックスで権力に近づき甘い汁を吸いたがる女たちもやたら目立つ。フランスはそこまでは腐ってはいない。だから今度のような選挙と組閣の結果が可能なのである。
 
 そうはいってもマクロン政権がどうなるが未知数なのは確か。上手くいかないかもしれない。しかし、いま新鮮な風を感じさせてくれているのは確かだ。
 一部の日本の自称知識人のように出だしか若いから経験がないから上手くいかないだろうといった揚げ足取り的は発言はすべきでない。
 こういう連中は何時でもマイナスの烙印で他者を自分の下位に置き、しかも都合の悪くなった場合、逃げ道を用意しておく。姑息で卑劣。
 マクロンの若いエネルギ-、その奥さんブリジットの知性と魅力。こういう事が国民の精神に与える影響は過少評価すべきではない。


 独裁権力は必ず腐敗するが、一強と言われる日本はそれに近くなっている。例えば国会での強行採決などという醜態は民主主義の先進国では起こりえない。
 トランプへの金製ゴルフを土産にした卑屈外交、暴力的な国会強行採決。セックス産業野放し。近隣諸国への憎悪を煽る詐欺師的な自称知識人ども。
 共謀罪による国民の管理締め付け。隣国への憎悪をけしかける過去の日本大帝国戦争にノスタルジアの妄想を抱く連中。先の戦争で辛酸をなめたのは国民である。愛国者、反日の実体の曖昧な言葉に扇動に騙されまい。


 1970年代くらいまでの優れた日本映画を見ると、日本人が他国にはない素晴らしい倫理観を備えていた事が分かる。その事がどれだけ世界で日本ファンを増やした事か。
 今、安部政権の日本に親近感を抱いているフランス人はほとんどいない。
 恋人に食事をご馳走する金がなくて苦しいと、フランス人精神科医に愚痴をいったら「金だけをバ-ズにした関係は必ずカタストロフが待っている」と言われた。

 今の腐敗安倍政権と関係を持とうとする連中が金だけを基準運にしているとしたら、それは空恐ろしい事ではないか。
 「おごる平家久しからず」。
腐敗しているものは切除しなくては生き延びる事が出来ない。完

デスマッチ迫るフランス大統領決定戦とフランスの女の事など。

 パリは大統領選決戦投票を目前に燃えている。

 フランスの選挙は敵を潰す為に非情に過酷にガンガンやるからドラマがある。
見ていてワクワクする。討論会の前などはボクシング試合を思わせる雰囲気だ。

 
 昔、寺山修司が天井桟敷地下劇場でリングを設けて言葉のボクシングをやった事があるが、それを何100倍にもしたような本気の言葉によるデスマッチである。

 5月7日の決定戦は中道左派と位置付けられるエマニュエル マクロン36歳と極右の女党首40歳後半の対決となった。

 マクロンは若くしてロスチャイルド銀行の資産金融のアドバイザ-を担当していた超エリ-ト銀行マンで銀行界のモ-ツアルトと言われていた時期がある。
 不況対策で行き詰っていた現社会党大統領ホランドが経済部門の高級官僚に抜擢。
 この人は運がいいのだろう。
 その後、ホランド大統領の政策を批判していた経済相が辞職した為、その後釜に指名された。
 社会党でも政治家でもない国際的大銀行出身のエリ-ト銀行マンが社会党政府の重要閣僚ポストに就いたと大批判をを巻き起こした。
 大統領選が近づくにつれて、不人気のオランド大統領に反旗を翻し内閣を飛び出し自分が中心の国民運動「前に進め」を組織、従来の政党支持を一切受けず自分で資金を集めて、あれよあれよという間に勢力を拡大。遂に大統領候補決定戦に進出した。
 当初は誰も予想できなかった事態である。


 フランスの権力争いはなんでもあり。旧日本人の僕からすれば恩人のホランドを裏切った人間でと思うのだが、フランス人はそんな湿った感情論に何時までも拘らない。力があり政策がいいと思えば支持者となる。僕から見れば裏切りなのにな、と思う事が他にもある。
 社会党は大統領選の公認候補を選ぶために社会党員に限らない一般にもオ-プンな選挙をやり一位になったより左翼系の政治家を党全体で支援していく事を確約した。
 ところが選挙戦も後半になった時、突然社会党政府の元首相だった人物が「自分は極右を阻止する為に第一回投票からマクロンに投票する」と宣言した。マクロンは社会党候補の敵だったのにである。その党首は固い握手までして約束を誓っていたのである。
 こんなの土壇場の裏切りと思えるのだが。


 フランス人は状況変化に応じた変わり身が早い。どうも「約束しちゃったから」とかmそういう言葉に呪縛されないようだ。おそらく日本の政治家など太刀打ちできない。鍛え方の厳しさが違う。


 これは男女の関係にも言えていて、熱烈に愛の言葉を交わしていたのに、何か問題が生じて冷めると男も女も昨日までの事が嘘のようにパット別れる。

 
 フランス映画を見ている人は気づかれているかもしれないが、女が「あなたとは終わり」といって服を旅行鞄に投げ込んで、さっさと家を飛び出してしまう。
 それを裏切りととるか状況の変化に合わせた合理的で正直な態度ととるか。
 フランスの女性と暮らして、後ろ髪をひかれない女の態度にノイロ―ゼになる日本男性も多いと聞く。

 
 さて一方の極右マリンㇴ ペンは親父の代から極右思想の伝承者、党も親父から受け継いだものだ。
 弁護士出身で頭も切れ非常に弁も立つ。美人とは言えないがブスではない。
 また、さすがに文化国家フランスの政治家だけあって物質だけで文化教養ゼロのトランプの卑俗さはない。
 しかし、自分は大金持ちの家で育ったのにプア-な白人をタ-ゲットにしている点ではよく似ている。ペンもフランスファ―ストをキ-ワ-ドしている。

 
 仮に彼女が当選すればeuは間違いなく崩壊、世界の歴史の劇的な転換がやってくるのは間違いない。


 外国人排斥もアピ-ルしているが、主な対象はイスラム教諸国のそれも不法労働者。


 エゴでいえば、僕はもう40年もパリ暮らしだし、別れたフランス人女房との間に2人の子供がいてフランス人の父親という事でフランス人と同等の権利がある。


 しかし、今からフランスに来てフリ-で暮らそうというのは、最早不可能に近い挑戦になっていると思う。仕事だって600万人の失業者がいるだ。
 僕などはバブルに時代の恩恵があったからうまくいったのである。マクロンもそうだが、人は全て運だと思う。

 目下のところ世論調査ではマクロン優勢。だがフランスに不満のガスは充満しており、もしかしたらのどんでん返しも考えられない訳ではない。


 生活に苦しむ白人フランス人はマリンㇴ ペンの方を自分たちに身近な存在と感じているようだが、実は大変な金持ちの出。
 一方、マクロンは中産階級の出で学業優秀で出世してきた人。


 確かに二人を比べて見るとペンが砂利を運ぶダンプみたいだとすると、マクロンはハイクラスの高級スポ-ツカ‐の様である。


 トランプ大統領当選に続いて世界の運命を左右するデスマッチが迫る。


 フランスは人間関係にドラマがあるから面白い、それは女との関係でもそうだ。

 
 日本のテレビで見るような男の飾り物のような女子アナなど、フランス女性ジャ-ナリストからしたら屈辱以外の何物でもない。よくジャ-ナリストを名乗っていられるものだと信じられないだろ。女も主張するから面白いのである。でなっかたら置物人形、事物と同じで丁々発止がなく退屈至極。女の魅力は性的なものだけでなないのである。会話の魅力のない女の美しさはすぐに摩滅する。


 パリの5月はすばらしい。今朝も快晴なので近くのカフェのテラスで1,80ユ-ロのカフェを注文して新聞と本に目を通しながら昼食まで3時間いた。青空が素晴らしかった。 極右が仮に勝利してもパリの青空の美しさは変わらない。完

パリの春、復活祭祝日と糖尿病

 今日は復活祭の祝日。生憎、天気は曇りで霧雨が降っている。しかし、パリの青みがかった灰色の空は何時見ても美しい。
 快晴ならリュクサンブルグ公園の中にあるカフェにでも出かけてパリらしい多種多彩な人の賑わいを楽しみながら読書でもしたかったけれど。
 つい最近、糖尿病予備者と診断された。
頻尿でポンピド-総合大病院の泌尿科に診察してもらっていた。公立だから社会保険を持っていれば診察は無料。もう約2年前の事である。
 この病院はいつ見ても豪華客船みたいだと思う。中に入っても巨大で廊下は長く数多くのに医務室、診療室があり迷ってしまう。
 担当医はフランス人ではなくペルシア人か何かの印象だ。感じ悪いなと思ったが患者が担当医を指名することなぞ出来ないから仕方なし。
 他の病院に回され癌が原因かどうかを調べたり、診察のインタ-バルが2月先というケ-スさえあり治療に時間がかかってしまっていた。
 診療のインタ-バルが長くなるのは高料金の私立病院と違って公立は無料だから患者数が多いからである。
 しかし、長い間言われたとおりに薬を飲み続けてもいっこうによくならない。夜中5-6回も起きる事がある。担当医を恨んだ。そして最近になり頻尿が一層激しくなった。これは普通ではない、もしかしたら糖尿とか他の事が原因ではないかと思い、かかりつけのベトナム人医師に全ての血液検査をしてもらった。結果はかなり糖尿が進んでいて危ないからすぐ専門医の治療を受けに行けといわれた。ショックだった。
 しかし、公立病院は診察アポをとっても1月から2月先になるというと、緊急に行けばすぐ見てくれるからと言われた。
 ポンピド-病院には緊急科がありアポなしで直接診察してもらう事が出来た。
 少しだけ待たされただけで、若く好青年医師が診療を担当。すぐベッドに寝させられた。糖尿は遺伝的要素もあるからと家族で糖尿の人間はいないかと聞かれたので、いないと答えたが。
 しかし約50年前に父親が突然眩暈で倒れ急死している。後から考えると親父は実は糖尿なのに知らなかったのではなかったのかという気がした。
 緊急病棟での治療は実にきびきびとして効果的で、フランス人はテレテレとし雑談が多くビシッとしていないという固定観念を完全に打ち破るものだった。
 看護婦は余計な慰めの言葉などかけずに必要な事をテキパキとやっていく。日本人からしたら冷たく優しくないと感じるかもしれないが、感情がべたつかず気持ちがいい。
 フランスはエキスパ-トの社会で、パン屋とかどんな職業でも免状が必要。だから看護婦もただ医師の補助ではなく看護婦というエキスパ-トなのである。仕事が早い。
 しばらく病院で休むという事でベットに寝たまま共同の安静室に運びこまれた。
 公立病院には貧乏な階層の人たちが多い。両隣のベッドは屈強な黒人男とアラブのおばっちゃんだった。点滴の棒と歩く人にもアラブ人や黒人が目立っていた。
 一日いて夜の8時頃に退院、自宅治療となった。錠剤metformine;850mgを朝夜二回飲み、朝昼晩と携帯用デジタル計器で一日3回血糖値検査。
 出張看護婦が朝の血液検査と夕方の血液検査の後インシュリン注射をしてくれる。
 血糖値測定は極小の針出しで親指と人差し指を除いた指を射し微小の血をだしデジタル測定器の細い測定板に塗るだけでok。
 糖尿病はフランスでは社会保険さえ持っていれば治療無料の対象という事で、薬も計測器、それに看護婦も含めて全て無料。フランスの福祉制度のすごさに改めて感じ入った。
 そして驚くことに、この治療を受けて僅か一日後、頻尿がぴたりと止まったのである。
 通い出張看護婦も親切で今は二人目が交代しているが、最初の人は形のいい乳房が隆起したグラマ‐で瞳が緑の美人だった。
 血糖値は日々下がっていて、看護婦は血糖値を見ながら食事のアドバイスをしてくれる。幸いパリには自動販売機もカップㇴ-ドルや量産される弁当などを売る24時間営業のコンビ二がない。食堂も開店している時間は昼は12h-14h、夜は20h-23hくらいまでと決まっている。ハンバ-グ店も東京に比べれば少ない。
 糖尿に落ち込みにくい環境にある。
 泌尿科が完全に誤診したわけでなないだろうが、他の原因の可能性も考えて血液監査をやってくれたいたら。
 あのまま頻尿の原因は膀胱だけと考えて医者にまかせっきりにしていたら、診察日のインタ-バルも長かったから、糖尿はどんどん進行していただろう。そう考えると空恐ろしい。


 時に雲間から日が射すが霧雨は降り続け肌寒い。町に騒音はなく静かな復活祭の祝日である。みんなtvを見ているのだろう。
 大統領選第一回投票は後7日だ。極右のマリンㇴ ペンが第二回の決戦投票に選出されるのは確実だが、もう一人の相手が誰になるかは混沌としている。
 最近、新鋭の歴史学者が写真入りで、ファシズム台頭の1930年代と現在の相似性を書いた豪華本が出版され話題。またコメディ-フランセ-ズではブレヒトがヒットラ-の台頭を書いた戯曲が上演され話題となっている。
 西欧はアラブとの問題で手一杯で極東までは頭が回らない状況。日本の存在感の低下は著しい。ジャパン ナンバ‐ワンなどといって日本人が胸をそらしてシャンゼリゼ通りを歩いていたことなぞ夢のようである。
 安部首相はトランプの腰巾着としか見られていない。
 オデオンでカラオケバ-を経営したいた女性と知り合い肉体関係を求めて付き合い始めていたが、糖尿で休んでいるといったら連絡が途絶えた。彼女は失業中で毎月500ユ-ロで暮らしているといっていた。