獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

戦争と平和とパリカルチャ-シ-ン。






時はあっという間に過ぎる。
ブログを書く暇もないままロシ,ア独裁者プ-チンがウクライナへの侵略戦争を始めてからもう三ヶ月以上が過ぎた。


この間、ロシア軍の猛爆撃でウクライナの幾つかの主要都市が無残な廃墟となり、夥しいウクライナ女性がレイプされ、数千万に及ぶ難民が発生した。
プ-チンはヒットラ-と同じ戦争犯罪者だと思う。


フランスのテレビでロシア国営テレビの時事討論番組を見る機会があったが、ロシアのウルトラ帝国主義者が第三次世界大戦を扇動し、「パリなど原爆サイル数発で壊滅出来る」、「戦車部隊で進軍してシャンゼリゼ大通りのカフェでエックスプレッソを呑みに行こう」とか、とんでもない無茶な発言をしていた。


フランスの対応は冷静だが、ウクライナ移民受け入れ、インフレによる物価高、ガソリン値上げなど一般市民は購買力低下で生活も厳しくなっていて、この侵略戦争はフランス社会にも暗い影を落としている。 


一方でパリ市民は日々の生活に追われて暮らしているものの、戦火にある地獄のウクライナとは違って自由と平和は享受できている。


そんな中パリのカルチャ-シ-ンでは見逃せない美術展、イベント、フェスティバルが目立つ。
美術jではアメリカ同時代美術を代表する彫刻家「Charles Ray」展(6/6迄)。同氏は69歳になるがフランス初の回顧展だ。デビュ-時の写真作品から、ス-ツ姿の巨人女性、路上生活男の巨像、有名な美少年の白い立像、くたびれた老人っぽい男が乗馬しているステンレス像など約20点を展示。
「重力の浮遊する身体、催眠状態に引き込まれる」などと評価されている。会場は証券取引所=Bourse Commeceをフランスの富豪フランソワ ピノが私財を投じて改築した超モダンで粋な美術館。内部は展示ギャラリーが円環回路で結ばれ





ているユニ-クなもので、それだけでも一見の価値がある。建築家は日本の安藤忠雄だ。





エッフェル塔近くにある現代美術館では「Eugène Leroy」展(8月28日迄)。20世紀で最も重要で注目すべき画家だといわれるが長い間無名のまま埋もれていた。今回はデッサン、油絵など合計150点を展示している大規模なもので全貌を明らかにしている。具象とも抽象ともつかない荒々しいタッチの独特な絵画作品で魅力があり、発見が期待できる。


この他ではオランジェリー美術館でのセザンヌやモネなどの大物の名画を一堂に集めた印象派絵画展、ファッション美術館での「Love Bring Love」展、オルセイ美術館での「Sophie Calleと彼女の招待客」などが面白そう。


7月11日から31日まではfestival paris l'été夏のパリフェスティバルが開催する。
これは長い夏季バカンスシ-ズンに入るとパリカルチャ-シ-ンには何もなくなってしまう事から、その空白を埋めようと企画されたもので、当初は小粒なフェスだったが年々人気を高め規模も拡大。今では大勢のファンを動員するまでになった。


演劇、ダンス、音楽、サ-カス、インスタらションなど、市内の各会場に分けて多種多彩な27本の作品をプロブラミング。
中でも期待作は、アンジェリン プレジョカジのダンス作品「ボレロ」(7月11,12日)と「G.U.I.D」(7月14日-16日、Grand palais éphémèでの「The Dcing public(mette ingvarsten振付ダンス作品、7月12日-16日)も興味深い。更にウクライナ女性集団による「ウクライナファイア-」(7月14日、ルモンフォ-劇場),集団Cirkvostによる「空中演劇」(7月15日-17日),「ポルトガルの夜」(7月17日)。
暴力,貧困、人種差別、社会の悲惨など怒りをもって現フランス社会の病巣に切り込んだ問題作「EN FINIR」(7月19日-20日),「ストリップ」(7月20日-22日),
「アフリカモダンダンス」(7月20日-23日)など。新鮮な発見がありそうだ。


世界現代音楽のメッカIRCAM音楽研究所の6月-7月のプログラム「ManiFest」も是非行きたい内容だ。コンサ-ト数は約32作品。
抜群なコンサ-トホ-ルCité de la musiqueでリン リアオ指揮、パリ交響楽団による「シーズンオープンコンサ-ト」(6月9日)と中堅の女性作曲家Anton Webenの「Webern +」(6月10日)、
ボ-カルと人口頭脳組合せイベント「Deep Voice,Pris」(6月11日)、現代音楽を代表する作曲家Iannis  Xenakisの作品で過去20万人を動員している「Le Polytop」(6月11日、Ircam)。
シュ-ベルトと人工頭脳「Anima」(6月11日、ポンピドゥーセンター大ホ-ル),またボーカルと人口頭脳の組み合わせ「Deep Voice,Paris」(6月15,16,17日),
必見の「Musiqes-Fiction:La Collection(6月18日-25日、T2G劇場),
更にXenakisの2作品「Polyiopes:Rrouverture de l'Espace de projection」(6月21日-7月2日)と「Révolutions」(6月26日迄),最後は数学者で現代音楽家であるAlan Turingkの作品「Alan T」。


演劇では太陽劇団本拠地劇場に招かれて公演(7月15日迄)する5輪車劇団「どん底のエレクトル」が期待できそう。
パリに残酷な戦争がなくカルチャーを楽しめる事の幸せをありがたいと思う。平和はすばらしい。どんな収穫があるか楽しみである。