獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

ソフィ-マルソ-、バカンスのパリ

今夏パリはもう秋になってしまったような陽気だ。このところは18度前後の日もある。夏バカンスⅠヶ月というのもざらだから観光名所にでも行かない限り街は静かで人混みもない。
カルチャ-シーンは長いバカンス期で退屈になるが、涼しいし普段の騒音も聞こえないので読書して過ごすには最高だ。



自民党女性局の研修旅行スキャンダルをネットで読んだ時、エッフェル塔前の写真を見て、地元から見て半分以上は観光旅行だろうと思った。彼女たちは社会問題となっている街や場所はどこも訪ねていないし。すべて女性誌などでよく紹介されるパリ観光旅行の定番メニューだし。


現在フランスは多くの社会問題を抱えている。
日本と同じでインフレと物価高で一般フランス人の生活は苦しいだけでなくて、最近起こった弱年若者層を中心にした大暴動の元凶は特にアルジェリア人やアフリカ人にたいする根強い人種差別であるし、生活に困窮する大学生が増えて無料食料配給に長蛇の行列が出来た。


更にはパリ郊外で暮らす移民層への差別、麻薬の流行と麻薬売人縄張り争いよる殺人、思春期の子供たち間で起こっている鬱病や自殺など精神疾患の現象、


日本程ではないがレイプも多い。先日は一階に住む若い女性が真昼間に窓を開けていたら外から男が金を無心するので断ったら窓を超えて入り込まれレイプされるという信じられない事件さえあった。


パリから発信する日本人の便りには優雅で幸せで美味しい料理食べ自宅のプ-ルで泳いでみたいな生活感のゼロの露出狂的情報が多いと思うが、同じヨーロッパで17か月以上もプーチンによる残虐な侵略戦争も続いてる暗いエポックに、バブル躁状態の時代のようにノーテンキな毎日バカンス的な生活をしている人間なんて、幻想で生活してる露出狂でもない限り普通ありえない。
自民党女性研修団はパリに抱くそうした固定観念の幻想の中にいたのだと思う。


対応した仏側も訪問者数の多さだけでなく憧れてる雰囲気に驚きさぞかし優越感を抱いたことだろう。長年のパリ生活経験から言って十分に想像できる。


フランス人の巧みで偽善的な社交術にはマジ凄い。日本人の想像を超える。


フランスのエリ-ト階級は社会階層との区別も含め何事においても公私の境界をはっきりさせる。
労働着など何があっても絶対に着ない。
事故があったりすると皆と同じに見せかけるために作業着で出てくる日本の政治家とは大違いだ。


今回自民党女性研修団を引率してきた女性議員は中高一貫校から東大法学部-外務省という日本高学歴社会の申し子みたいなエリ-トらしいが、日本のエリ-トには勝利者という自負が強いのか、公的なものでも自分は自由に扱える身分だと勘違い、「私のものは私のもの、君のものは私のもの的」な感覚で汚職に手を染める人間が多い気がする。偏差値試験の成績だけで出世するのが原因かも。


プーチン独裁政権に巣くうエリ-トも欧米を堕落国家と宣伝しながらが自分の子供はエリ-トにするためににするためにロンドンやパリのトップスク-ルに留学させるという。兵役も免除だ


マクロン政権については政策に不満を持つ国民は多く極右勢力が躍進する要因の一つになっている。
旧仏植民地のニュ-ジェリアではクデ-タでこれまでの親仏政権が崩壊し親ロシアの軍事政権が誕生した。
マクロンはプーチンを辱めてはダメだといっていたが、甘い見通しが生んだ失政ではないか。
TVで見た群衆はフランス国旗を燃やしロシアの国旗を掲げていた。
クデ-タの背後にはロシアがいるのは明瞭。


ウクライナ戦争関連するこことでは原爆で威嚇するロシアに対して、原爆被災記念日に広島市長が挨拶した演説の全文をネットで読んだ。感銘を受けた。
ロジックがしっかりしている。こういう人が健在ならば日本はまだ大丈夫だと思った。
比べて鈴木宗男は滅茶苦茶。
双方が喧嘩をしたのではなく自分の方が腕力は強いと誤解してたならず者が断りなく隣家に侵入し家族を破壊殺して破壊し始めたのがコトの始めなのだよ、プーチンは独裁者なのだよ。お前。



映画「ブ-ム」主演で多感な少女を演じ,その魅力で世界の若者の間に熱狂的な人気を巻き起こした女優ソフィーマルソー。
彼女のインタビュ-記事が、世界トップクラスで知識人が多く読んむ新聞ルモンド紙の一面に大きく掲載された。
今まで彼女の総主演作品数はなんと50本以上というが、知らない面が多かったから興味深かく読んだ。


要点をお伝えするとソフィーマルソ-は以下のように答えてる。


「家は労働者階級で貧しかった。それで自分でお金を稼ぎたかった。
14歳の時、お金になるからと母親連れていかれた少女モデルのオーデションに受かった。それで映画「ブ-ム」出演の話も来た。


本当の姓はMaupuモピュ。仏語で聞くといかにも労働者の姓である。
姓は変えなければいけないといわれて考えたけどいい考えが浮かんでこない時、マルソー通りに通りかかかって、それを偶然に目にしていいと思って、ソフィ-マルソ-にした。


フランスではまだ13歳で働く子供がいくらでもいる時代だった。
貧しかったから高等教育は受けなかった。


両親は私が世界のスタ-になっても労働者の生活を続けた。引退する時は田舎に自分たちで家を建てて細々とした年金で死ぬまで暮らした。


「ブ-ム」は最初は客が入らず失敗とおもわれていたけど最終的には大ヒットして生活は一変した。


ある日、「国立コメディーフランセ-ズの男優フランシス ユステ-ルです」がという電話がかかってきてカフェで初めて会ったら、いわれた。


「才能があるるけど、そういう人はいくらでもいる。かわいくて美人だけどそういう女優も幾らでもいる。自分で自分を教育して文化的に豊かにならないとだめだ」。


知らなかったけど、彼は有名な人気俳優だった。
毎水曜日に彼の自宅に通って読書したり一緒に音楽を聴いたり映画見たりした。


16歳の時、大手映画会社ゴ-モンが申し込んできた40万ユ-ロで専属契約の交渉も人に頼らず自分の言葉で交渉して全部一人でやった。


スタ-になって自分が変わったのではなく他人の見る目が変化しただけだと思う。
人々は映画というフィルタ-を通して私を見ている。


26歳年上のポーランドの芸術映画監督アンジェイ ズラウスキ-との同棲生活では私は従順な性格ではないから年齢差や経験差で振り回されることは何もなかった。でも彼からは人生や文化など多くのことを吸収した。


彼と一時ポーランドに住んだけど共産主義者たちの生活は子供の頃に両親と行ったフランスの共産グル-プの雰囲気にそっくりだったので懐かしかった。
映画「ブ-ム」は商業価値を追求した作品だった。」


ソフィーマルソ-は今56歳だがブームの少女時代の可愛い面影に円熟さが加わって美しい。


日本の学歴偏差値社会に勝利し、自分はエリ-ト選ばれた人間だと人を馬鹿にした生き方をする自民党女性研修団のような女性よりもソフィ-マルソ-のように生まれたな境遇を受け止めて人々に喜びを与えるア-ティスになった人生を送っている女性の方が遥かに素晴らしいし感動する。


ソフィ-にはセックスアピ-ルでも厚化粧でも飾らない自然で真摯な美が存在に表れていると思う。


今夏パリは涼しく静かに読書だけでなく、ルーブルでのナポリ絵画展などすごい美術展も開催中で、疲れればセ-ヌ岸も散歩出来る。金を使って海や海外に出かけなくても、快適な避暑地にいる気分になる。