獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

モンマルトル丘の小カフェと侵略戦争。

今回は写真がダメなので文章のみ。写真は次に回します。


 フランスの著名精神科医にパラノイア精神病と診断されたプ-チンが襲ったウクライナ侵略戦争は一カ月以上過ぎても続いているどころか、凄まじい無差別空爆にもかかわらず一つの重要都市も占領出来ないでいる。
 開戦以来TV局ILC21時-24時半のニュ-ス番組をほぼ毎晩見ている。必ず戦況ルポと現地中継がありコメントするゲストに軍事専門家や政治経済評論家などの他、映画監督や英語教師とか専門外女性をよく呼ぶので面白い。
 パリにフランス語が流暢で若く美人で知的なウクライナ女性がこんなにいるのかとビックリする。


 戦略上重要な南東部人口40万人だった都市マリウボリが連日猛空爆を受けた跡のルポも見たが、それは地獄の光景だった。なんと都市全体の80%が破壊され、プ-チンは都市全部を塵芥と化そうしているのだと、フランスの新聞で指摘されている。


 この都市でのウクライナ人の死者数は埋葬分だけでも5千人、推定では一万人に上るという。目下は和平交渉の可能性が取り沙汰模されているがプ-チンの言葉に信用がなく、結末は不透明で流動的だ。


 今回の侵略戦争は時代を大きく変えた。現在は歴史の曲がり角にある。


 またフランス大統領選の第一回投票は4月10日と迫り選挙闘争は激しくなっている。現大統領マクロン氏当確が大方の予想だが、票が激しく動くフランスの事、結果は蓋を開けて見なければ分からない。
 更にフランスは戦争、選挙大統領に加えてインフレによる物価高、社会暴力の多発、貧困層の増大等のマイナス材料もあり、パリには不安の影がある。


 そんな状況下、パリで人々は日々の生活を送っている訳だが、モンマルトル丘の観光名所で有名な白亜の大寺院サクレク-ル下方にある私立中劇場アトリエでJ P サルトル作「出口なし」を上演していたので見にいった。1940年代の実存主義全盛時代の作品だが、ここ40年来上演されたことはなく、時代の変化を考えるとタイムリ-な企画だと思った。


 ところが日にちを間違えて閉まっていたので観劇は後日にして、傍にある小さなカフェのテラスに入った。
 テ-ブルの間は窮屈で隣にはデブのフランス女と芸術家風の東洋女がいた。
 東洋女は日本人でなく台湾人で中国がロシアと同じに武力侵略してくることを全国民が心配しているといった。


 メトロの中でウクライナのファ―ストレディのインタビュー記事をよんで感動した事を話すとデブのフランス女が信じられない事をいい始めた。
「ウクライナのゼレンスキ‐大統領はお笑い芸人だったから演出が巧いのよ。ネクタイ姿で出てこないのも全て計算づくの演技。最後の段階になったらイスラエルが武力支援をしてくる。私のいった事を覚えておくといいわ。その通りになるから。全部仕組まれているのよ」。


 体験も含めて言うと東洋人の日本人とつき合うフランス人には実はいわれなき人種差別感を隠し持っていて、「日本人は私たちフランス人に憧れている」というような優越感を味わえるのを喜びとしているような連中がいる。
 これも体験知だがブス女にはひねくれた性格の女が多いと思う。多分このデブ女もそうした人間の一人なのだろう。


 今通っているデッサン教室にはウクライナ人の高校生がいて、46歳の父親が戦場で露軍と戦っているといっていた。


 パリ市民は何故か戦争に関する話は普通したがらないが、ウクライナ侵略戦争はこうしてパリの生活の中に入り込んでいるのだ。」


 フランスのブス女のせいで不快になり周辺を散歩すると、意外にも粋で新鮮なカフェ、レストラン街を発見した。夜遅くまで流行の若い男女がテラスで談笑している。モンマルトル丘に、こんな素敵な片隅があるなんて。パリは奥が深い。嬉しい収穫だった。
 つくづく平和はいい。


 後日、この劇場の界隈の写真を撮りに行って来たが画像がマッチしてないと乗せられなかった。これだからデジタルは厄介。自宅からモンマルトルまでは2時間程度かかるので周辺写真紹介は、大問題になっているロシア軍によるウクライナ住民大虐殺と一緒に次回におつたえしたい。すみません。