外にいるのと内にいるのとでは見える風景が違う。
今度のeu選挙で、フランスは女性党首マリンㇴ ラ ペンが率いる極右のRNが勝利。フランスは激動に揺れた。
日本でどういう受け止め方がされているのかは分からないが、フランス社会が極右の支配下にあると想像するなら、それは完全な誤解である。
その主要な理由は以下の点にある。
1.まずこれは政権を左右する国内選挙ではない事。
2、勝利といっても極右RN23,3%、マクロン大統領の党LREM.22.4%と僅差だった事。
3、半世紀に渡って政権を争って来た左翼の社会党と保守派右翼は完全に没落したものの、それに代わって若者の支持を受けた環境党が第三勢力13ページ%として台頭して来た事など。
また日本の極右と重ね合わせて考えるのも間違いである。
フランスの極右と日本では本質的に異なる部分が多い。
まず欧米の極右はアメリカのトランプ大統領が好例だが白人至上主義である。白人が最も優良な人種であり世界は白人によって支配されるべきだと考える。しかし日本は黄色人種である。いわゆるカラ-ピ-プルの中にカテゴライズされる。
トランプ大統領の選挙参謀として有名になったバノンは、女性極右党首マリンㇴ ラ ペンの選挙参謀を買って出て、なんと一泊8千ユロのパリの最高級ホテルに選挙期間中滞在した、彼女は大統領になるだろうと予言している。
欧米の極右が躍進した原因は主にアフリカからの大量な移民の流入に対する敵対視である。これも白人主義にかかわる事で、問題になっているのはアフリカ人だからである。これもトランプ大統領が発言している事だが、アフリカの文化習慣によってキリスト文化習慣が破壊される事を危惧しているのである。
しかし、日本にはアフリカ人大量移民の動きはない。
それともう一つ加えると、日本の極右は真正な国粋主義ではなく、利益の甘い汁を吸う利害集団であることは、私利私欲の事件が多い事で分かる。
純粋右翼であればむしろ今右翼を名乗っている連中を国賊として批判するだろう。
だから欧米での極右台頭を捉えて、日本の極右も欧米の潮流に同調したものだというなら、それは嘘か間違いのどちらかでしかない。
フランス極右第一党という事件をめぐってtvでも様々な討論番組が組まれ激論が交わされた。
某番組では出席者が罵詈雑言の応酬を繰り広げ、席を蹴って退席してしまうというスキャンダルも起きた。
しかし、中では有名な社会学者エマニュエル トッドの発言が一味違って面白かった。
「極右と戦争を短絡に結びつけるのはおかしい。それにイタリア人がイタリアは自分たちのものだといい、フランスはフランス人のものだという事のなにが悪いのか。自然な事ではないか。」
とはいうもののスペインは極右でなく社会党が第一党になっている。
如何にお互いを知らないかを示す滑稽なエピソ-ドがある。
朝日新聞の記者がフランス極右躍進取材の為、党首のマリンㇴ ペンにインタビュ‐をした。そして最後に聞いた。
「どういう国造りを目指しているのですか。」。答えはあなたの国、日本の様な国ですだった。記者は絶句した。
朝日の記者がよく調べ勉強し無知でなければ、こんな答えを引き出す質問はしなかっただろう。朝日新聞記者は面食らったに違いない。
だからフランスで極右が第一党になったからといって 日本以上に右翼社会になっている訳はなく、むしろ自由度とか労働条件などからいえばフランスの方が日本より住みやすいかもしれない。
トランプの日本訪問はまったく報道されなかった。仮にこれが中国訪問だったら大ニュ-スになっていただろう。
欧州での日本の存在感低下は余りにも著しい。