獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

パリ写真美術館で開催中のウクライナ人写真家の写真展が人気



毎夜22時-01時、民報ILC局の報道番組が必ずウクライナ戦争の進展状況について興味ある討論を組むので、それを見てから寝るのが習慣になってしまっている。
プ-チンはかなり追い詰められているようなのでうれしいが、個人的には少しスランプに陥っているようだ。ブログもなにをどう書いたらいいかよく見えなくなっている感じがある。
 今フランスの社会状況はウクライナ戦争の影響で悪くなっている。
 ロシアのウクライナに肩入れする欧州に対する報復策で石油、ガスが輸入量が減少、それが原因で様々の物価が値上がりしているだけでなく、フランスも世界的なインフレの波に巻き込まれている。
 最近は石油精製会社の従業員が給料値上げ要求でストライキに突入。ガソリン代が高くなっているのに加えてガソリンの供給状態が悪化。フランス人の大半は車で移動するから大混乱になりガソリンスタンドには車の長蛇の列ができ、苛立った客の間で喧嘩沙汰も起きたという。毎朝通いで来てくれる看護婦は半日で40人前後の世話する人を車で巡回するそうだがガソリン給油待ちにすごい時間を取られ「まったく地獄」と嘆いていた。
 またパリ郊外の町の新現象として思春期の少女の売春も話題になっている。
 これは郊外で麻薬のディ-ラとして小銭を稼いでいた若い不良が売春斡旋の方がカネになると気づいた事から始まったらしい。客を見つけて仲間内の少女に売春を勧めて紹介料で稼ぐ。本当の売春組織でないから少女は客の住まいなどで売春するとか。料金はまちまちだが30分50ユ-ロで身を売らされる子もいるという。
 フランス映画界もネットフリックスなど新たなプラットホ-ムの流行と人気という時代の大変化の荒波に襲われ全体の総映画館客数が大減少。特に名画館系は存亡の危機に直面させられている。この間、こうした芸術映画系のプロヂューサー、俳優、映画配給会社の人たちが集会を開き危機から脱出する為に芸術系映画の大切さや国の支援を求めるアピ-ルをした。
 ロシアのウクライナ侵略戦争はフランス社会にも大きなマイナスの影響を与えているが来年一月15日迄、新しくパリ4区に出来た素晴らしい欧州写真美術館(La maison  Européenne de la photographie: Fourcy通り57番地)でウクライナ出身の写真家ボリス ミハイロフの回顧展が 開催中で人気だ。ここは早くもフランス写真芸術界のメッカになっていて必見の場所である。 
 





 同アーティストは1938年ウクライナのkharkiv市生れだが数年前からベルリンに在住して活動、世界で高い評価を受けている。
 展示写真作品数は800点近く。現在の戦争写真は一枚もなく全てはウクライナで庶民のいる興味深い日常風景を撮ったものが大部分だがエロティックな主題の写真もある。
 美しいシリ-ズ「昨日のサンドイッチ」、1970年代共産主義政権時代の暮らし、ソ連支配下の貧しい街角風景、軍服姿の若者たちなどなど。総じて作品には寂しく喜びを奪われた雰囲気の印象がある。「ウクライナ1970年代の政治批評とパラノイアと霊魂を反映している。」(ルモンド紙)などと評価されている。興味深い必見の写真展といっていい。