獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

今季パリの演劇シ-ン。

 フランスの長いバカンス期が終わった。これから一気に冬に雪崩込んでいく。冬の季節との切れ目が希薄なのだ。とはいえ秋風の吹く日もある。快晴の日はパリ秋冬独特の硬質なダイヤモンドの日差しが素晴らしい。
  
 目下、今季12月末迄にかけてのパリ演劇界を彩る多種多彩なプログラムが一斉に発表されている。


 この時期来仏するカルチャ-ファンの為にも必見の作品を厳選し紹介したい。
  主な作品の写真はfestivale d'autonme à paris で検索できます。  


1、アメリカモダンダンス界の大御所マ-ス カニングハムの大特集、7本問題の作品が違った劇場で12月迄上演され続ける。
 特に勧めたいのはシャイヨ宮殿劇場 テアトルデビル、或いはシャトレ劇場での公演作品だ。いづれも市内の大劇場である。


2、米国前衛演劇界の歴史的大物、ボブ ウイルソンの新作「ジャングルブック」、11月6-8日、theatre de ville。約40年前の衝撃の処女作「浜辺のアインシュタイン」を想起させる舞台で必見、チケットは早急予約必要。


3、ポ-ランドの前衛劇団「the wooster group」の「a pink chair」11月15-17日、ポンピド-センタ-。カント-ルといっても若者は知らないと思うが故寺山修司が絶賛したポ-ランド現代劇の鬼才、新進劇団による生誕百年記念公演、すごく面白そうで期待大。


4、注目を浴びるイタリアのラジカルな新進演出家 Romeo Castelluczzのアナ-キなダンス作品「Lavita Nuova」


5;ユニ-クな新作を発表し続ける演劇集団「tg stan」がトルストイとアンナ カレリ-ナの謎に挑む「collectif」,9月11-10月6日。bastille劇場 


6、、南カルフォルニア出身の天才ダンサ-Robyn OrlinがJ ジュネの傑作戯曲「女中たち」を原作にした新作パフォ-マンス。11月4-15日、bastille劇場


7、実際に起きた集団事件とその裁判を再現したEmille Roussetのドキュメンタリ-演劇。10月19,20日、大学都市劇場。


8、Mohamed el Kitatibが離婚した両親の子供たちが体験を語る証言を構成演出する「dispute 口論」、11月8日-12月1日、ピエ-ル カルダン劇場。


9、アフリカのコンゴの演出家Faustin Linyekulaによる音楽前衛劇。11月20-23日、パリ市立劇場。


10、有名なモネの水蓮画の常設展で有名なオランジェリ美術館でglissement、「滑る」をテーマに上演されるパフォ-マンス。9月30日。


その他の注目株は
1,突飛な鎮魂歌劇、Steven Cohen公演、9月19日-23日、ポンピド-センタ-。


2、日本でもファンが多いJerom Belの新作ダンス。「イサドラダンカン」、10月3日-5日、ポンピド-センタ-。


3、漫画をモチ-フにしたJonathan Capdeville公演、11月23日-30日、ナンテ-ル劇場。


4、流れゆく時間の瞑想を主題にしたChrisoph Marthaluの舞台、11月21日、22日、ヴィレット大ホ-ル。


5、台湾の劇団、演出Wang Chia Mingによるカナダのノベル文学賞作家Alice Muuroの劇化作品、11月28日-30日、クレテイユ ア-トセンタ-。


6、作演出Stefan Kaegi;でハバナの過去と現在を語るキュ-バの若手劇団公演。10月4日-8日、オベービィエ-ル劇場。


7、現代ドイツ演劇界の俊英Frank Castorfの「演劇とペスト」。12月5日-14日、サンドニ劇場。


8、フランスのシュ-リアリスト演劇で人気の劇団Radeau公演、11月5-16日、T24劇場。


9、韓国の若手パフォ-マ-、Jama kooが見せる不況と汚職の韓国の素顔。12月4日-13日、バスティ-ユ劇場。


10、室内四重演奏者4名と舞台俳優4名を起用したCalixto Bieto演出による即興的音楽パフォ-マンス「The string Quatet "s。」。11月12-14日。パリ市立劇場。 


11、ウィリアム フォ-サイス新作ダンス公演。11月4日-11.chatelet劇場


12、パリオペラ座の男性ダンサ-トップだったダニエル ダリュ公演、11月14j-16日、大学都市劇場。


12、そしてトリは世界的知名度抜群のフランスの太陽劇団theatre soleille の新作「Electre des bas fonds,どん底のエレクトトレ」。作演出はsurface主宰者のムㇴシュキンではなく新人Simon Abkarianを起用。収穫が楽しみだ。9月25日-11月3日、バンセ-ㇴ森のソレイユ本拠地劇場。


以上である。


映画イベントではオ-ケストラ演奏付きでのチャップリンの無声映画、これまた必見中の必見、現代音楽の先鋭Lena Herzogの新作曲による「Last Whispers」がある。
他ではゴダ‐ル特集、コンコルト広場脇にあるjeu de pomme美術館での未知の映画監督『Marie Losir特集」も発見となるだろう。


更に現代音楽シ-ン、ジャズ、ロックのライブも豊かで パリの夜は眠れない。
見逃せない美術展も盛んだが、それに関しては次回で触れたい。
パリはまさに輝く文化国際都市である。完。