獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

天は人の上に人を作らず。



ラジオ深夜番組で悲しい話を聞いた。眠るベットの中で胸が詰まった。
ヨ-ロッパone,,22時半-01時までの放送で、不幸せな訴えを精神科の女医が聞いてやり聴者の意見も交えて一緒に問題解決を探すという内容だ。
人の不幸は鯛の味というが;時々聞いている。
 
 40歳の男性が愁訴していた。
「一人住まいの母親を訪ねたら死んでいた。
周囲は一人息子の自分が葬式を出すべきだという。
が、母が自分にした仕打ちを考えると、そんなことはしたくないのだけれど、同時にやらなければ罪悪感に苛まされる。どうしたらいのか。」
 男は続ける。
「母はアル中だった。ビストロに行って酔っている彼女を家に連れて帰ってくるのは何時も幼い自分の役目だった。家の中は乱雑で汚かった。税金の支払いなどの家計の処理も12歳の頃には全て覚えていた。


 市役所福祉課の判断で他人の家に預けられた。それでも母はそれに構う事はなくアル中のままだった。自分の子供時代は母に奪われた。
 成人して自力で自分の生活を築いてきたが、今度は母はそんな自分に頼ってってきた。淋しいからと。親だから時々会った。
 母とのいい思い出などなにもない。それでも自分が葬式を出すべきかなのか。決められないでいる。どう考えればいいのか分からない。」


 結論的に精神科女医と聴者の答えは「今は辛くても葬式は出すべき。」だった。
 理由は「後年、母を許せる時が万が一来た時、後悔しても遅すぎる。」から。
 男はouiともnonとも答えなかった。


 最後の問い掛けが心に残った。
「カソリックでもなんでもなかったけれど、死んだ母の部屋の机にはマリアの立像が置いてありオヤと思った。母には懺悔の気持ちがあったのでしょうか。」
「可能ですが、何よりも自分の人生を大切に下さい。40歳は未だ若いです。立ち直ってください。」


 友人の女性ジャ-ナリストの一人息子は有名なDJになりたくて国際的なバカンス地イビザ島に彼女の援助でよ美しい海辺の広いアパ-トを借りて生活の心配もなく音楽に集中してオランダの美少女と同棲している。自由奔放な生活である。


 人は生まれる場所を選べない。


 天は人の上に人を作らずと啓蒙したのはフランス革命に西欧思想の影響を受けた脱亜入欧の福沢諭吉だが。この話を聞いたらどう思うだろうか。


 社会学者ボ-ルデュ-が鋭く解明したフランス社会の階級再生産は更に固定化が進んだように思える、


 5月1日は鈴蘭売りの一日でもあった、


 リュパブリック広場でおばちゃんから一鉢6ユ-ロの物を買って窓辺においた、