何の変哲もないメトロ前広場のカフェでブログを書き始めた、
テラスに暖房は入っている。それでもかなり寒い:。雪が降り始めている。
　零下2度だとか。雪は多分積もるだろう。
　気紛れでギャルソンの写真を撮った。平凡男だが理由を聞くのでイケメンだからというと素直に喜んでいた。暫くは気分良しだろう。

　この寒さでは夜になればホ－ムレスの凍死が出るだろう。しかしそれでも日は徐々に長くなりかすかに春の兆し。自宅の鉢植えの雑草には緑の芽が伸び始めている。

　美しい雪景色のパリ。だが目下フランスは混迷の渦中にある。

　フランス人が世界一美しい大手通りと自慢するシャンゼリゼの凱旋門周辺で、黄色いジャケットのデモ隊が機動隊と衝突して暴動化したニュ－スを見た人は多いと思う。

　特に女性誌などで紹介されてきた「素敵」なパリのイメ－ジしかなかった日本人はドキモを抜かれたに違いない。それにマッチョな男性が多い事も知ったと思う。
　装甲車のすごい噴水に全裸で向かっていく男とか素手で機動隊に立ち向かいノックアウト寸前まで追い詰めた男とか。
　あれが普通のフランス男子でアラン　ドロンのような優男は滅多にいない。

　黄色のジャケットは汚れを防ぐ作業着。

　デモの発生した直接の原因はガソリン税の値上げで、枯原の野火の如く一気に燃え広がり、大規模な民衆運動となった。

　背景にあるのは中産階級の没落と彼らの生活苦があると指摘される。
　また大統領官邸を自分たちの好みに大改装するなどの贅沢なカネ使いへの憎悪感情も強く働いているともいわれる。

　昨年12月最初の暴動以来、その後も毎週土曜日毎にデモは繰返し続けられていて、土曜日のランデブ－「待合わせ」と呼ぶｔｖコメンテイタ－もいる。

　また要求はガソリン値上げへの単純な反対から今では大統領辞任、内閣総辞職、国民が直接国政に参加出来る参加型直接民主主義体制への移行確立など大問題に発展。
　それを国民の半数以上が支持するという危機的状況となっている。

　危機感を抱いたマクロン大統領は国民と直接対話議論するという過去にななかったい大国家イベント国家国民会議を1月から3月にかけて全国各地で開催することを提唱決定。

　既に1月上旬、北フランス地方の市長600人を集めて第一回を開催された。
　それをｔｖ中継で見たが。どんな質問でもぶれず明晰明確に答える能弁な天才ぶりには舌を巻くしかなかったが一方では対話というよりパフォ－マンス。
　よく準備された優れた即興対話劇みたいだと思った。

　マクロンが高校時代に演劇をやっていてファ―ストレディのブリジットが演劇の恩師だったのは有名な話だ、

　文化の違いは面白いと思う。演劇をやっていた政治家が政治討論で見事なパフォ－マンスを見せた場合、日本だったら嫌われるだろうがフランスでは評価につながる傾向が強い。

　一連の3月一杯までの国家国民会議を経て、どういう結果が出るか。マクロン大統領にとっても半か兆かの大博打だろう。一歩間違えば倒閣運動に急変しかねない。
　結果は今後の国際政治に大影響を与える。様子を見守りたい。

　この予想外の大規模な民衆運動は日本に無縁とは思えない。
　日本のニュ－スをパリで読んでいると、安倍政権の権力主義、横暴腐敗はもっとひどい。フランスだったらデモどころか革命が起こっても不思議はないが、それは恐らくフランス革命の歴史を持つ国との国民性の相違かもしれない。
　とはいっても不満のガスが溜まり切っていれば、僅かな火で燎原の火となりかねない。

　安部政権は巨額資金を投じでフランスで「ジャポニズム」の大イベントを開いたが、黄色いジャケットの運動にかき消された格好。中国の方が遥かに効率にいい宣伝戦を展開している。フィガロ紙には中国情報記事の大きな紙面が登場している。

追伸
ちなみに週38時間から40時間職業別月収の代表例を紹介。レ－トは130円前後。ユーロ記号は省略。
*婦人科医、4500
*校長、5415
*教師、2680
＊蚤の市露天商、1500
＊役職銀行員、3365
＊フランステレコム「ｎｔｔにあたる」、1800
⋆国会秘書、4000
＊眼鏡店店員、2968
＊店員、1260
＊弁護士秘書、1990
＊看護婦。4000
以上。