獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

老いた美人パリジャンヌへの一目惚れ。

 
 老いて一人でいる時が多いと寂しくなるので市の施設が地元の高齢者を対象にオーガナイズしていて近所にあるフランス人の読書交換会に登録した。参加者は読んで面白く推薦したい本を持ち寄って、それについて話し合うというものだ。
 驚くことに男は日本人の僕だけ。他はみんな高齢者のフランス女性ばかりである。


 もう二回参加した。個人的には若く綺麗な女性が好きで婆さんには興味はないので、その点で初回はいささか失望したが読書の程度は想像した以上に高かったので期待は満たされた。
 ところが2回目出席にして未だ名前も知らない知的な初老女性と本の嗜好がマッチする事が分かった。
 それで親しみを覚えて少し立ち話した時、彼女のブル-の瞳と品性のある細面顔の綺麗さに一目惚れしてしまった。
 若い頃はかなり美しい女性だったに違いない。高齢者という色眼鏡でみないと、初老になった今もすごく魅力があるのである。


 人生は不思議だ。この年になって、この女性に一目惚れしてしまったのであるから。しかも若い女性にしか興味がなかったのにである。


 その夜は、彼女と一緒にパリの公園を散歩したり、綺麗なレストランで食事したり,文学についての会話楽しむとか、熱い夢想に囚われた。その甘い苦悶は10代の頃の初恋の味に似ていた。


 人生は何時何が起こるか分からない。こんなところにこんな年齢になって好きなタイプの女性が偶然に登場するとは。


 二回目の読書会で、趣味は合うにしても初老のフランス女性と短い会話をして目があっただけで、片思いの一目惚れ恋心が生まれるなんて思ってもみなかった。


 彼女にはかなりの本を読んでいて教養があり選択本の趣味も合うから気を惹かれるのは当然といえば当然といえるが、究極的には出会いは神秘としか言いようがない。


 つき合いたいと思う。今は彼女は夫が他界している未亡人であってほしいと思っている。


 一つ確かに言えることがある。それは短い立ち話した時、僕は彼女に若かった頃の美しさを初老の美の中に見たl事だ。


 それだけではない。彼女の品性と教養、それにフランス人には珍しい謙虚さが美しさを作っている。


 人生は不思議だ。


 女学生の頃、この人は僕など足元にも及ばない素敵なパリジャンㇴだったに違いない。と思わせる雰囲気が尚ある。あの老いても綺麗なブル-の瞳。ショックだった。


 彼女は二冊の面白そうな本を貸してくれた。つながりが出来た喜びがあった。


 出来るなら残りの人生、彼女とつき合いたと思う。それは未亡人でなければ不可能だと思うから、そうあって欲しいと思い願っている。

 素晴らしい出会いとはそうあるものではないが、生きているか死んでいるのかも完全未知数の彼女の夫へのジェラシ-が既に発芽している事に驚く。