フランス新年と幸せ。
新年、自分には不幸せな事がみあたらないというような46歳の人気女性作家のインタビュー発言をネットでちらりと読んで、ひっくり返るほどびっくりした。
何時もなんらかの不幸せに襲われていると感じている身としては、この穢土といわれる世の中にそんな小説家がいるとは思ってみたことがなかったから。
しあわせとふしあわせは相対的で、比較によって生まれるものだと思って来たからこの区別は必ずあると信じてきた。それがそういう人間の感情を全て取っ払ったところで「私には不幸がない」という事は信じがたく、ただすごいと思う。
この女性作家の場合、他者の悲劇に対する想像力はどう働いているのだろうか 。
いやそもそも他者の人生、内面に対して深入りする関心はなく事実、行動のみにしか興味がないのかもしれない。目に見える物理的な事しか信じられないのかもしれない。
こうした楽天的な日本文学に比べればフランスは悲観的な個人の内面のディテ-ルを追及するペシミズムの文学作品が多いと思う。日仏文化の差は以前より格段に開いているように思える。
新年を迎えて、今大きな社会現象はコロナ-19の新変種「ミクロン」の大流行と3ケ月後に迫った大統領選挙が激しさを増している事である。
ミクロンは24時間で35万人の感染者が出ていて病症は軽いといわれているが、それでも日々の感染者数が大きい事と感染者に青年、壮年者が増えている事が大問題になっている。
予防の為にワクチンを打つべきだと政府は懸命に情宣しているが、ワクチンを打つかどうかは個人の自由と認めるべきと反対する人が数百万人いるのでフランスを二分する程の騒ぎになっていて、ワクチン接種反対派に無責任と怒った大統領がワクチンしてない人は許す事の出来ない最悪連中だと発言、これも物義をかもしている。
大統領選の方は極極右翼のデマゴ-グが出馬して選挙戦をかき回していて、しかも候補数も多く混戦状態。ただフランスの大統領選は対立が厳しく争いが過激なので格闘試合を観戦しているような面白さがある。
しかし今のところ最有力候補マクロン現大統領は揺るがないでいる。
2022年のフランスは景気は上向いているそうで、オリンピックがまじかでもあり、ベルエポックのような消費の華やかな時期があるかもしれないと予感する。
ダイナミックに動くフランス社会は面白い。
実際どんな年になるのか。それは神のみぞ知る。自分の運命も分からない。
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