疫病コロナ流行下のパリ、社会思想基盤の全崩壊。
東京との国際電話中、下腹部に耐えがたい激痛が走った。救急搬送され
開腹手術を受けた。肝臓入り口周辺に体石が集まっていた。石を取り除く簡単な手術だが、運悪く1カ月以上に及ぶ長期ジェネストで入院は2週間に及んだ。その間、生身を突き刺す痛みに耐え抜かなければならなかった。
麻酔をかけられる時、数字ではなく好きな音楽を選べと言われた。麻酔で無意識下に落ちていく間に聞いたモ-ツアルトのレクイエムは至上の喜び。少しづつ闇に沈んでいく陶酔感は言葉に表せない。
感染者数、一万2612人。
死者数 450人。
重症 1297人。
コロナウィルスによるフランスの犠牲者の今日現在の数字である。
感染のピ-クはまだ来てないというから、この数字が更に拡大していくのは確実だ。しかし、誰も何時ピ-クを迎えストップになるかは予想できないままである。
それどころか、逆に流行の速度は早まり汚染地域も全国に蔓延している。
マクロン大統領はconfinement「外出禁止」の声明を発表し、これは健康の戦争であると明言。
映画館やカフェ、レストラン、コンサ-トなどのイベントなど人の集まる場所は全て禁止,また許可書なく外出する事も禁止。家にいるよう呼びかけている。
この禁止令は6週間に及ぶとの予測もある。
パリ中心街のシャンゼリゼやカルチェラタン、オペラ座界隈は完全なゴ-スストタウンと化。一方、バルベスなどの大移民街では相変わらずの人出らしい。ホ-ムレスなどへの対策は特にとられていない。
小市民が多く、普通は車と人が頻繁な我が家の前の小道も死んだような静かさだ。.買い溜めなどの騒動は起こっていないものの一部のスパ-マ-ケットでは大きな買い物袋やキャディ-を手にした人々の長い行列が見受けられる、人と人の間隔も1メ-トルを保つように警告されている。
ス-パ-マ-ケットで一人だけで従業員に対してでmerciと拍手している若いマダムもいた。
confinementの期間中、都会を離れて田舎で過ごす人も急増加、セカンドハウスを持つ人が多いフランスならではの逸話だが、第二次 大戦末にドイツ軍の脅威を受けて10万人が田舎に大移動した記録映画を放映するtv番組もみた。
フランスの識者の論調を聞いて背筋が寒くなるのは、この疫病大流行後にやってくるだろう時代に関しての事である。
グロ-バル時代の終焉、大不況到来とかは誰にでも予想可能だが、怖ろしいと思った指摘は有名極右論客の発言。
「マクロン大統領を始め自由主義のリーダ知識人が思想的支えとして1980年代までに築いてきた社会的思想基盤が全面崩壊した」。
鋭く的を射ているのではないか、と思った。
国家あるいは大権力や全体主義の力に頼らなければ生きていけない時代が来るのだろうか。
時代の変化に向けて新たな理論武装が必要な時を迎えているのは確かなようだ。
一寸先は闇である。
夜の8時半頃、外から拍手と歓声の合唱が聞こえて来た。窓を開けて首を出してみると近所のアパ-トの多くの住人が窓辺かr身を乗り出してmerci merciと拍手していた。
コロナウィルスと最前線で戦う看護婦や医師、介護人対する感謝を表した自然発生の行為だった。
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