laurentというカルチェラタンのカフェでフリ-で入れるjazz演奏があったので行ってきた。
場所はメトロodeonとセーヌ岸を結ぶドフィン通りの37番地にあった。
カフェとあったので、よくある普通のパリのカフェと想像 していったけれど違っていた。シックでリッチなホテルの中にあり、カフェというよりサロンといった趣だった。
女性歌手とピアニストの組合せ。
ピアノは巧かったけど、歌手に全然魅力を感じなかった。一言でいうと退屈。どことなく離婚した妻の母親に似たタイプなのも白けた。
だけどカフェの雰囲気はリッチで素敵だから女性をデ-トに誘ってカクテルでも注文して「落とす」には適しているだろうと思った。
何時もは白のグラスワインを注文するのだが、カクテルの種類が多かったので、ナイトサイドというのを頼んでみた。胡瓜の薄切りとオリ-ブとレモンが乗っていた。甘味が適度にある。ローム酒がベ-スになっている。テイストはまあ合格だった。
カクテルを作るバ-テンのシェ‐カを振る音が時々聞こえるのも雰囲気に一役。アメリカ人が多かった。留学生なのか観光なのかは分からない。米国片田舎の高級ジャズクラブにいる気がした。
退屈なので適当に聞いて適当なところで引き上げようと考えていたら、フランス育ちらしい中国系の体躯のいい青年と24歳位のフランス人女性のカップルが入ってきて目の前の席に座った。その女性を見た瞬間、ハートを射抜かれた。
うぐいす色で胸を少し開けた服がよく似合っていた。他のアメリカ女性客のように俗っぽくない。瞳は適度に大きく鼻も高すぎず顎は瓜型だった。とぎれとぎれに聞こえる声もよかった。モデルタイプの美人ではないが。すごくチャ-ミングだ。
金髪は混じっているだけ。 シャイな感じもすごくいい。完璧にノックアウトされた。
一目惚れというやつだと思った。
胸が締め付けられて動機がして、すぐ立ち上がれなくなってしまった。
釘付けになり、悟られないように盗み見した。
彼女はカシスのカクテルを素直に美味しいといい飲み、マカロンを美味しいと食べていた。
畜生、何故か悔しかった。
コンサ-トは真夜中の24時までだ。
彼等はそのあとどうするのだろうか。気になった。
しかも彼女は酔い,ここの雰囲気やマカロンなどで気持ちよくなってる。彼女の一挙一動がきになる。
23時半頃まで店にいたが、買ったばかりの本とインスタントラ-メン2個と新聞リベラシオンの入ったビニ-ル袋を忘れた事に気がつき引き返した。
彼女は男の隣に席を移し並んで座っていた。
忘れもの手渡してくれた時、彼女は瞳一杯に見つめた。
それは穏やかな地中海の色をしていた。
長い人生で彼女の様なチャ-ミングな女性とつき合うチャンスがなかったことを悔やんだ。
束の間の出会いで彼女に2度と会う事はないだろう。
しかし暫く彼女とあの時の瞳の美しさは忘れられそうにない。
その翌日、パリの有名な大チャイナタウン「ベルビル」の丘で小さなジャズコンサ-トがあったので行った。幾らでも参加料を払えば聞けるというシステムだった。
出演バンドは3組。サブカルチャ-のジャズ派という感じ。この界隈はアングラっぽいくて先駆的ア-ティストが多いらしい。
ラストを決めたサラ オリヴィエという女性ボーカルはラジカルで客をエロチックに煽った。観客は300人くらいで殆ど20歳前半の若者。
周囲は豊かな緑に囲まれたいい場所だった。主催者は大きなジャズフェスの育てていく意図でやっているという。フランスはすごいと思う。
客には美人もいたが、一目惚れするカフェlaurentの彼女の様な女性はいなかった 。
帰り道、餃子専門で人気の中華店に寄って、豚肉と唐辛子を混ぜ合わせた餃子と茄子のニンニク炒めを食べて帰宅した。美味しかった。
ベルビルのメトロ周辺には多くの中国人街娼が徘徊していた。
天国と地獄はいつも隣りあわせである。