極寒のパリ、真冬に会った不幸せな官能の中年美女、カティア。.
凄まじい寒さが続いている。パリで零下8度の時がある。遂に風邪でダウンしたが、未だ一週間程度は続くらしい。経過を待つしかないが、ホ-ㇺレス8人が凍死している。
北部では零下20度の地方もある。太陽の南島コルシカの海岸が雪で覆われている、という信じがたい光景をtvが流していた。今日も雪が降っている。
カティアという女性と会ったのは一年前の真冬、同じような零下の寒さで:牡丹雪が静かに降っている晩だった。
パリで日本人向けに発行しているミニコミ誌で、全く偶然に彼女の出した広告を見かけたのが切っ掛けだ。「日本人男性との交際を求めています」。興味を抱いた。女を抱きたいと思っていたし。
シャトレ広場はセ-ㇴ川沿いにあり豪華な大劇場が向かい合う。
その一角にあり観光客が少なくリッチな感じもあるカフェで待ち合わせた。
過去、ネットで会った女性の大部分は写真と実物の落差がひどかった。懲りたので止めたが。
一例を挙げれば、映画館で待ちあわせたが、若い頃の美人の写真と現在の実物の違いが甚だしく40分余り気がつかったという事ももあった。これじゃ詐欺だ。
しかし、今回はミニコミ誌なので、もしかすると、まともなタイプの女性かも、と期待した。
でも、すごいブスかもしれない。その場合はどうやって脱出するか、降る雪を眺め考えながら待っていた。店内の客はまばらで寂しかった。
カティアは正面に座りスコッチを注文した。セクシ‐な美人だったので驚き内心動揺した。年齢は50歳前半か。日本人が憧れる典型的なパリジャンヌの雰囲気がある。ダイレクトな率直さにも好感を抱く。格好いい。すぐに引かれた。やりたい。
2度目は日本映画を見に行った。カネがなかったので彼女が払った。
初めてのデ-トで男にカネを払わされたのは初めてだったと後々も文句を言われた。
この夜、彼女のアパ-トに行った。ポンピド-センタ-の近くでサロンが80m平方ほどある。びっくりした。億マンション ? 離婚で旦那からもらい受けたものだという。すごい。
キスをすると受け入れた。ベッドへ誘うと「コンド-ㇺは持ってきた」と言われた。
否と答えると、「じゃ‐次の時に持ってきたら」といわれた。
カティアは南仏で結婚しイタリア料理店を夫婦で経営していたが、夫が嫉妬に狂って家に火を点け全焼させてしまった。写真をみたが若い時の彼女はすごく美しい。男が嫉妬に狂うのは当然だ。パリに上京してからはパリのバ-からバ-を明け方まで梯子、カネに糸目をつけず仲間と遊び騒いでいた。もすごく楽しい時期だったらしい。
話が断片的なので時系列ははっきりしないが、日本男性とも結婚していた。
どうも女たらしで詐欺師の様な男だったらしい。本人はケンブリッジ卒だといっていたという。一時はパリ好きの日本人の億万長者の老女にくっついて派手にカネを使っていた。彼女の姓はキムラのままになっている。
しかし、その男はパーキンソン病になりフランスでは保険がなから帰国するしか手がなく、現在は生活保護者用か精神病者用の病院としか思えない倉敷の収容に入っている。
日本にも身寄りはなく、もうじき死ぬしかない。救いたいけどどうしようもない。悲惨な話である。この人もツケを払わされているのだろう。運命だ。75歳くらいらしい。
カティアはオデオン座近くに「穴倉」なるカラオケバ-の経営者だった時期もあったという。
スポンサ-はジャルパックの現地社長。すごい金持ちでなんでも買ってくれたという。 代償は月に何回か求められる性交と高級レストランのディナーへの同伴。
しかし、少し考えて見れば分かる事だが、現地社長でそんな金使いが出来るわけはない。会社の交際費とかを横領していたのだろう。よくあるケ-スだ。
彼女はとてもいい人だったというが、同時に軽蔑的な事も口にした。
「セックスは月に数回。それもあっという間に終わるからすごく楽だった」。
かつてパリの娼婦から同じセリフを聞いたことがある。
「日本人の客が一番いい。清潔だし、あっという間に終わってくれから。」
この男も今頃は横領が発覚して路頭に迷っているかもしれない。
世の中、必ずツケは払うよになっているのだから。
カティアは南アフリカ生れで、父親は薬局を経営して裕福だったけど、幼い時、黒人の使用人に家の裏手で毎日のように犯されていた。だからセックスは早く終わってくるのが一番いいと。この時、そんな話もした。
俄かに信じられない事なので、返す言葉を失い動揺して確認できなかったが、確かにそういった。
「性交は早く終わる方がいいし、これまでオルガスムスは一度もない」。この発言は鮮明に覚えている。
彼女は金づるになるジャルパックの男の様な日本人を探していたのだからカネのない日本人と出会ったのは失望していたが、孤独だったのだろう。
それからもつき合うようになり、何度も彼女の豪華アパ-トにいった。
しかし、毎回コンド-ㇺを忘れた。昨年の大晦日はtv歌謡番組を見ながら4時まで二人で過ごしたがセックスはしなかった。
今、カティは失業保険約6万円だけで生活している。
しかし、家賃はなくてもアパ-トの管理費は支払う義務がある。幾らだと聞くと三カ月で500ユ-ロだという。カネがないから借金として積み重なっているらしい。
必死で仕事を探しているというが、年齢的にも簡単には見つからないだろう。
ところがこっちも管理費未納で最近告訴された。病気していた時期に滞納していたツケが回って来たのだ。
請求額は4100ユ-ロ、罰金2000ユロ-、弁護士費2000ユ-ロ、合計8000ユ-ロ以上である。
しかし、納得できない面があるので裁判で争う覚悟を決めた。
それにしてもフランスの生活困窮者に対するシステムはすごい。折れた前歯も大学の歯科医学部の学生の実習の一貫として、無料治療してもらっているが、裁判も弁護士の卵である法学部の学生が教師の指導の下に実習として裁判の相談に応じてくれるシステムがある。さすがに人権の国というべきか。
しかし自ら戦う事の出来ない人は生きていけない。
カティアとは暫く連絡し合っていないが、今頃どうしているのだろうか。
真冬の凄まじい寒さと雪が彼女を思い出させた。
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