獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

久しぶりのブログ、カンバック

実に久しぶりにブログを書きたいと思った。2-3年ぶりだろうか。
日本映画のプロジェクトで時間がなかった。しかし伝えたい情報があるのにと、欲求不満だった。この無料ブログに出会った事で再開する機会が出来た。


今夕はパリの短歌会への投句を考えていた。
黄水仙 よく晴れた朝 窓辺にて 鮮やかなれば 命のいとしき


厳寒の中で去年アパ-トの窓辺に植えた黄水仙の根球から日々一ミリづつ新芽が伸びていく様子は感動だった。
それが伸び切り黄色の綺麗な花を咲かせている。


フランスは目下大統領選の話題ばかりで、第一回投票では極右のマリㇴ ペンが首位となることが確実視されている。しかし、二回目の決戦投票では他党が結集して対抗する為に大統領に選出されない事も確実視されている。ここがトランプかヒラリ-かのどちっか選択肢がなかったアメリカ大統領選と大きく違うところだ。


だがフランスは暗い時代にある。失業者は約600万人。テロの恐怖もある。


最近、1930年代、ヒットラ-台頭期に書かれスキャンダルとなり退廃堕落の烙印を押され葬り去られた作家erich kâstnerのvers abîmeという本を読んだ。テアトル ソレイユの公演に行った時、偶然に見つけた。
女は簡単に金でセックス転び、失業、絶望感、モラルなし。今の風潮とよく似ていると思った。平安末期を背景にした黒沢明の名作映画-羅生門-で原作以上に画面でよく描かれているように、末世では嘘、デマゴ-グがはびこり真実が見えなくなる。


もう一冊読んだエミ-ル クンドラの最近作-不死-。哲学的で結構退屈だったが、その中で気に懸った二つの文章。一つは曖昧さl'ambiguite=曖昧さ、或いは両義性がなくしては恋愛は成立しない、という事。もう一つは若者は人生を上昇していくものと考えるが、ところが人生というのは一つの事=三つ子の魂 ?のバリエ-ションでしかないというもの。


人生は予期せぬ事の流れで狂う事がある。
戦争がないという保証はない。
それでも黄水仙は廃墟の中からも美しい花を咲かせるだろう。
完 獅子頭伸