獅子頭伸のフランス情報;パリのつびぶやき。

在仏約40年の経験を生かしてパリを中心とした文化社会情報をお伝えしていきます。k

パリに暮らして40年以上が経ちました。情報誌パリ特派員、日本映画祭のプログラムディレクタ-などをしてきました。恐らくパリに骨を埋めるでしょう。日本映画紹介の仕事は続けています。年齢は還暦過ぎてから忘れています。そんな日本人男が触れる日常や特にカルチャ-シ-ン、またパリから見た日本の事などを書いていきたいと思っています。ヨロシク。

写真、戦時のモンマルトル丘下の街。



結局、写真は一枚だけがうまくいっただけ。操作を学びます。チェッ。


前回はプ-チンの侵略戦争がパリに投げかけている影とJ.Pサルトル作「出口なし」の公演についてついて取り上げ、日にちを間違えて劇場は閉まっていたので小さなカフェにに入りを変なフランス女と会話した後、周辺を散歩。素敵な街を発見して嬉しかったが写真を上手く掲載出来なかったので改めて撮って来た数点をしたい。
プ-チンの狂気の侵略戦争は続いているがフランスは現大統領マクロンと極右のマリイン ペンによる決戦投票が迫っていて十分な動きがとれないでいる。
TVでの戦況報道によると態勢を立て直した露軍が再攻撃に移って物量に劣るウクライナ側は困難な局面に立たされているらしい。
露軍による戦争犯罪も絶えず、多くの未成年の女の子がレイプされているという。
今通っているデッサン教室にウクライナの女子高校生が通って来ていて明るい子だが、彼女を見る度に現地では同じ年頃の多くの女子が露兵に凌辱されているのかと思うと胸が痛む。
後日、「出口なし」も見る事が出来たが演出がオ-ソドックス平凡で新鮮味がなく、同時代にもマッチする作品で時代状況にマッチする企画だったのに残念に思った。
又、改めて写真を撮りに行った時に、美味しくてすごく雰囲気もいいイタリアレストランを発見した。「AL Coryllis ristorante」85 rue des Martry 75018 paris,tel:01 42 05 69。
店主はボヘミアン風のク-ル」な人物で気楽に店の前に立ってくれた。
また、この界隈では若い人が目立ったのも印象的だったが、裕福な感じの人が多かった。
アメリカ人も多く住んでいそうだ。

モンマルトル丘の小カフェと侵略戦争。

今回は写真がダメなので文章のみ。写真は次に回します。


 フランスの著名精神科医にパラノイア精神病と診断されたプ-チンが襲ったウクライナ侵略戦争は一カ月以上過ぎても続いているどころか、凄まじい無差別空爆にもかかわらず一つの重要都市も占領出来ないでいる。
 開戦以来TV局ILC21時-24時半のニュ-ス番組をほぼ毎晩見ている。必ず戦況ルポと現地中継がありコメントするゲストに軍事専門家や政治経済評論家などの他、映画監督や英語教師とか専門外女性をよく呼ぶので面白い。
 パリにフランス語が流暢で若く美人で知的なウクライナ女性がこんなにいるのかとビックリする。


 戦略上重要な南東部人口40万人だった都市マリウボリが連日猛空爆を受けた跡のルポも見たが、それは地獄の光景だった。なんと都市全体の80%が破壊され、プ-チンは都市全部を塵芥と化そうしているのだと、フランスの新聞で指摘されている。


 この都市でのウクライナ人の死者数は埋葬分だけでも5千人、推定では一万人に上るという。目下は和平交渉の可能性が取り沙汰模されているがプ-チンの言葉に信用がなく、結末は不透明で流動的だ。


 今回の侵略戦争は時代を大きく変えた。現在は歴史の曲がり角にある。


 またフランス大統領選の第一回投票は4月10日と迫り選挙闘争は激しくなっている。現大統領マクロン氏当確が大方の予想だが、票が激しく動くフランスの事、結果は蓋を開けて見なければ分からない。
 更にフランスは戦争、選挙大統領に加えてインフレによる物価高、社会暴力の多発、貧困層の増大等のマイナス材料もあり、パリには不安の影がある。


 そんな状況下、パリで人々は日々の生活を送っている訳だが、モンマルトル丘の観光名所で有名な白亜の大寺院サクレク-ル下方にある私立中劇場アトリエでJ P サルトル作「出口なし」を上演していたので見にいった。1940年代の実存主義全盛時代の作品だが、ここ40年来上演されたことはなく、時代の変化を考えるとタイムリ-な企画だと思った。


 ところが日にちを間違えて閉まっていたので観劇は後日にして、傍にある小さなカフェのテラスに入った。
 テ-ブルの間は窮屈で隣にはデブのフランス女と芸術家風の東洋女がいた。
 東洋女は日本人でなく台湾人で中国がロシアと同じに武力侵略してくることを全国民が心配しているといった。


 メトロの中でウクライナのファ―ストレディのインタビュー記事をよんで感動した事を話すとデブのフランス女が信じられない事をいい始めた。
「ウクライナのゼレンスキ‐大統領はお笑い芸人だったから演出が巧いのよ。ネクタイ姿で出てこないのも全て計算づくの演技。最後の段階になったらイスラエルが武力支援をしてくる。私のいった事を覚えておくといいわ。その通りになるから。全部仕組まれているのよ」。


 体験も含めて言うと東洋人の日本人とつき合うフランス人には実はいわれなき人種差別感を隠し持っていて、「日本人は私たちフランス人に憧れている」というような優越感を味わえるのを喜びとしているような連中がいる。
 これも体験知だがブス女にはひねくれた性格の女が多いと思う。多分このデブ女もそうした人間の一人なのだろう。


 今通っているデッサン教室にはウクライナ人の高校生がいて、46歳の父親が戦場で露軍と戦っているといっていた。


 パリ市民は何故か戦争に関する話は普通したがらないが、ウクライナ侵略戦争はこうしてパリの生活の中に入り込んでいるのだ。」


 フランスのブス女のせいで不快になり周辺を散歩すると、意外にも粋で新鮮なカフェ、レストラン街を発見した。夜遅くまで流行の若い男女がテラスで談笑している。モンマルトル丘に、こんな素敵な片隅があるなんて。パリは奥が深い。嬉しい収穫だった。
 つくづく平和はいい。


 後日、この劇場の界隈の写真を撮りに行って来たが画像がマッチしてないと乗せられなかった。これだからデジタルは厄介。自宅からモンマルトルまでは2時間程度かかるので周辺写真紹介は、大問題になっているロシア軍によるウクライナ住民大虐殺と一緒に次回におつたえしたい。すみません。

仏大統領選とパラノイア狂人プ-チン。

  


  5年に一度の仏大統領選は4月10日と迫って来たが、メディア報道の殆どはロシア軍のウクライナ侵略戦争で占められ選挙の話題性は影が薄い。


 フランスのテレビは連日ロシア軍の猛空爆で破壊されれた都市や町、零下何十度の雪吹雪の中、着の身着のまま戦火を逃れる悲惨な住民の様子を映しだし続けてているが、それだけでなく侵略に踏みとどまって抵抗を続ける多様な市民もスカイプで番組のゲストとして参加させている。その中には平和主義の代議士だったが3人の子供を田舎の祖父母に預けたらカラジニコフで戦闘に参加するという綺麗な30代の女性もいて印象的だった。またパリにはウクライナ出身のアーティストが多いらしく映画プロヂュ-サや作家などがよくゲストで出てくる。
 また「プ-チン」の本も書いてる仏の有名な女性精神科医はテレビで、「プ-チンは明らかに精神病。パラノイア患者は自分の世界を絶対的に築いていて、反対する者には攻撃的な態度をとり、現実がみえなくなる。プ-チンがパラノイアなのは確か」と断言した。


 欧米が武器提供援助だけでなく直接戦闘行為に係れば核兵器を使った第三次世界大戦になると言われていて、フランス人はそれを身近に心配している。


 そんな歴史的状況下で仏大統領選はラストスパートに向かっているわけだが、党派としては旧極右の国民党と新ウルトラ極右のZ世代から中道右翼からマクロン氏率いる進歩党、更にエコロジーの緑の党、左翼の共産党、労働党、そして極左の不服従の党までが揃い、立候補者数はなんと合計12人に上る。


 今回選挙の特徴は従来の極右を更に上回るウルトラ極右のエリック ゼム-ルがzの世代を組織して選挙に乱入して選挙戦を掻きまわしている事。
 同氏は右派フィガロ紙の記者だったがフランスの現状を批判する本「自殺するフランス」を出版して話題となり,テレビの娯楽番組などに出演して知名度を高めた。
 アルジェリアのアラブ人とは違う人種というカビ―ル地方で生まれ育った。
 ユダヤ人だが、むしろそれを逆手にとった人種排差別義者で特にアラブ人とその文化に対する対応はナチスのユダヤ人憎悪を思わせる。


 アルジェリアなど特定の国との二重国籍やヨ-ロッパ人を除く外国人への福祉システムの廃止、アラブ系の名前の持ち主への市民権発行停止、ハンデキャップ児童と普通児童の区分け、女性の社会進出批判、黒人やアラブ人の少年はみんな犯罪者発言、自己正当防衛の為の銃所持許可などなど、過去何度も酷い差別発言をして刑罰を受けている。


 フランスの知識人はフランスには米のトランプ旧大統領の様な人物が登場する土壌がないと言っていたがフランス版トランプだと評判だ。
 本人もトランプの信奉者で、実際に選挙のアドバイスを受けに会いに行っている。
  プ-チンがフランスに対するソフトパワーとして使おうとしていたという新聞記事もあった。


 極右同士の内ゲバも熾烈で裏切り者が多く出ている。日本では想像できない血で血を洗う権力闘争で、フランスの大統領選挙には金網デスマッチの興奮がある。
 ウクライナ戦争の平和解決をもとめて日々プ-チンと電話会談を持続するマクロンに対する国民の支持はたかまり現在30%超の高支持率。
 二回目の投票で一位二位の決定戦が行われるがマクロン氏の当確は揺るぎそうもない。ウルトラ極右の支持率は下落している。
 プ-チンは子供専門病院をミサイルで破壊した。恐怖心を与え抵抗が無駄な事を分からせる為だという。テレビでウクライナ女性記者がロシア軍兵士の死者数は12000人超えたといっていた。戦火がどこまで広がるか。狂人が相手だけに一寸先は闇である。